さて、ライティングマシーンのごとく、今回も黙々と書いています。
スポーツ新聞風で文章に臨場感を -前編- メインを彩る必須スパイスでは「見出し」「リード文」「記事本文」のライティングナレッジを紹介しました。そしてスポーツ新聞風で文章に臨場感を -後編- メインを引き立てる各種スパイスをテーマに、様々な角度からメインを引き立てる「略歴」「関連記事」「一問一答」「とっておきメモ」「各種データ」作成ナレッジを展開しました。
3部構成の締めは-完成紙面イメージ編-です。前置きはさておき、前編と後編で作成したスポーツ新聞を彩る各種要素を、実際のスポーツ紙面のようにレイアウトしてみました。
もちろん、実物紙面とは雰囲気が全然違いますが、「スポーツ新聞」風のスパイスをWeb媒体で感じていただけたら幸いです。では、見出しから一気に添え物まで「スポーツ新聞風フルコース」をお届けします。
「スポーツ新聞風フルコース」後は、スポーツ新聞風に仕上げるスパイスを10種と文字単価upの10か条もありますので、最後までお付き合いください。
※今回はスポーツ紙面をイメージしていますので、データを除き背景色は「ライト・グレー」に統一し、見出しの文字色も「らしく」しました。実践ナレッジ編で記載していた「行数と文字数」は削除しています。
見出し(タイトル)
伊代表FWクーリ、
本領発揮の芸術ループでクリカフェ大阪が今季初勝利
リード文
Gリーグ第7節が行われた6月3日、クリカフェ大阪がFWラボ・クーリ(31)の今季初ゴールで難波ショットに1-0勝利。年俸8億で新加入もここまで絶不調の現役伊代表FWが、終了間際に芸術ループで決勝弾。チームは今季初勝利で最下位脱出の16位に浮上した。
本文
現役伊代表FWの誇り高き芸術弾だ。0-0で突入したアディショナルタイムも残り1分、開幕7戦未勝利が濃厚な中、MF坂口のタテパスにFWクーリが反応。DFラインを抜け出すと、30m独走ドリブル。飛び出した相手GKをあざ笑うかのように、左足で芸術ループを放った。ゴールを確信すると、ボールの行方を見届けることなく勢いそのまま広告看板を飛び超えた。緑一色、歓喜に沸くサポーターに「L’ho fatto!(やったぜ!)」と両こぶしを突き上げた。
クーリにも、チームにも大事な1戦だった。2位難波ショットとの本拠地での伝統の”御堂筋ダービー”。引き分け以下で開幕7戦未勝利のクラブワースト記録樹立、負けるとライバルの首位浮上をアシストする最悪の結果が待つホーム戦。前日会見でクーリは「この試合でゴールを決めなければ日本に来た意味がない。ライバルの難波ショット相手に必ずゴールを決める」と宣言していた。
鳴り物入りも蓋を開ければ6戦無得点。大歓迎ムードはいつしか不要論へと変わった。8億円捻出のため、ベテラン選手を戦力外にしたこともサポーターの不満を増長させた。一部サポーターからは「これじゃボッタ・クーリじゃないか!」との心無いヤジまで。クラブ側が当該サポーターを出入り禁止にするなど、ピッチ外の話題ばかりが報道された。言葉は理解できなくても伝わる負の感情に、クーリは包まれていた。
試合後のヒーローインタビュー。劇的勝利に酔いしれるサポーターからの「ク―リ!」コールとカクテル光線を浴びながら「サポーターの皆さん、オマタセしました。初ゴールがこれほど遠く感じたことはなかったが、1点目を刻んだことで、2点目、3点目がある。これからゴールを量産する」とクーリ。チームは1勝4敗2分けの勝ち点5で16位に浮上。現役伊代表FWのワールドクラス芸術弾で、チームと自身の奈落を脱する今季初勝利に導いた。
略歴
◆Labo Curi(ラボ・クーリ)1990年(平成11)6月1日、伊ウンブリア州ペルージャ生まれ。地元Peruginoの下部組織で頭角を現し、05-06季に15歳でトップ昇格し、順調にキャリアを築く。15-16季開幕前に名門Forteに移籍。得点王3回、13年連続二けた得点を記録。伊代表42試合21得点の大型FW。推定年俸8億円。趣味はダーツ。家族構成は妻Bellaと愛息Bravo君。187㌢、77㌔。左利き。
関連記事(雑感)
クーリの妻Bellaさん(28)も感涙…。愛息Bravo君(4)と関係者席でクーリの芸術弾を見届けたBellaさんは「本当につらかったと思います。言葉も食事も異なる環境で、連携が重要なサッカー選手として結果が出ない日々が続き…」と涙を浮かべた。続けて「このゴールを機に、彼本来の実力を発揮して、サポーターの皆様の想いに応えてほしい」と更なる活躍を願った。
一問一答 クリカフェ大阪KJ監督に聞く
-大型補強のクーリが7戦目で初ゴールが決勝点に。
KJ監督 正直ここまでかかるとは思わなかったが、異文化に慣れることは誰にとっても容易ではない。
-ゴールの瞬間、ベンチから飛び出していたが。
KJ監督 嬉し過ぎて体が勝手に反応した。終了間際にクーリがチームの今季初勝利をもたらしてくれたからね。
-スコアレスのままアディショナルタイムに突入した。
KJ監督 相手は好調の難波ショット。ホーム戦とはいえ、先制点だけは与えないように慎重に挑んだ。
-GKの頭上を抜く鮮やかなループシュートだった。
KJ監督 ドリブル独走からスピードに乗ったままループを決めるとは…。誰がGKでも止められない現役伊代表ならではのワールドクラス弾だろう。
-これで最下位脱出の16位浮上。
KJ監督 遅ればせながらクーリの初得点、チームの今季初勝利を飾った一戦。今季終了後にこの勝利が上位躍進のきっかけとなったと思えるように、次節に向けて準備する。
-最後にサポーターに向けて。
KJ監督 ここまで6戦未勝利でサポーターの皆様にも不満を募らせてしまった。ただ、トンネル脱出の兆しは見えた。ここから挽回します。応援、宜しくお願いします。
とっておきメモ
この日の芸術ループ弾は、クーリ、そして妻Bellaさんの日本アート愛から生まれた。クーリとBellaさんの出会いは2015年夏、経済都市ミラノで開催されたArte Giapponese(日本芸術展)だった。キャンバスに余白を残す文化のないイタリア芸術に慣れ親しんだ二人に、余白を繊細に生かす日本の芸術様式、余韻あるいはワビサビと呼ぶべき伝統美が心に響いた。オフに芸術展を訪問したクーリを接客したのがBellaさんだった。国民的ヒーローへと歩むクーリを、当時のBellaさんが知らなかったことも幸いしたのか、お互い“素の部分”で共感した。知り合って3か月で入籍し、長男Bravo君も誕生。日本文化を愛妻と愛息にも-。その想いを胸に、異文化に挑戦したクーリ。日本初弾となる決勝ループシュートも、クーリの芸術美が描いたものだろう。(クリカフェ大阪担当 taka)
ラボ・クーリをデータ分析
スポーツ新聞風スパイス10種と文字単価upの10か条
スポーツ新聞風に仕上げる10のスパイス
より良い表現等があり次第、修正・追加・削除も可能ですので、今後、しれっと追加・修正するかもしれません。発行したら終わりの紙媒体ではありえない、Web媒体の特性に身もココロもどっぷりと浸かっているような…。
骨の髄まで浸かる前に、スポーツ新聞風に仕上げるスパイスを10種と文字単価upの10か条を。
スポーツ新聞に欠かせない10のスパイス
- 「見出し」「リード文」「本文」は必須
- 「略歴」「関連記事」「一問一答」「とっておきメモ」「各種データ」など添え物を
- 「写真」はメインテーマとの相性と相乗効果を最優先
- 文字調整対策として、1文は短く、1段落ごとに内容をまとめる
- 「ハイライト」「その結果」「エピソード」「新たな目標」など本文の構成モデルを増やす
- 文体はジェットコースターのように浮き沈み含めて一気に締めまで
- 略歴で興味を持たせる
- 「エピソード」「とっておきメモ」は普段からストック癖を
- 各種データは「テーマに最適で読者に分かりやすく」作成
- 多くなりがちな固有名詞、数字、各種データに細心の注意を
スキルupでライティング単価upを
それでは次に、ライティング単価upのための心得を、こちらも思い付く順にあげていきます。
私が考えるライティングスキルLvも載せています。こんな感じです。
※ライティングスキルLv=ざっくりですが「Lv1=1文字0.1~1円」「Lv2=1文字2円」、「Lv30=1文字30円で紙媒体1ページ1,000文字想定で30,000円」稼ぐ感覚でしょうか。
あくまでも経験則によるライティングスキルLvで、ここ数年は「Web marketing & promotion」が本業だったこともあり、最近の相場は分かりかねますが…。「プロとしてのクリエイティブは他者が評価するもの」ですので、1文字単価upには各クライアントの「ツボ」を抑えながら記事のクオリティを追求し、担当者から評価されることが重要です。
誤解なきよう、「ツボ」とはクライアントへの過剰な忖度や気遣いを意味するのではなく、あくまでも「よりよいクリエイティブを双方納得の上でスムーズに仕上げる」ための心得のようなものですので。今回はライター経験の浅い方や、ライターを志している方を対象とした、原稿料1文字単価upの10か条になります。
ライティングスキルLv10~20を目指すための10か条
- 初案件は少なくとも直近3回分の過去記事で文章テイストを確認する
- 初めての取材現場には1時間前には到着し、周辺環境を確認する
- 取材時の話す比率は、取材対象者8:自分2以内を意識し、オリジナル要素を引き出す
- インタビュー取材でも、原稿作成時には相手の話の内容を精査しながら仕上げる
- 設定文字数の2~3倍で書き上げ、無駄を削ぎながら設定文字数に調整する
- 極力取材日当日か翌日には「5」を仕上げ(提出せずに)、一晩寝かせて翌日見直す
- 誤字脱字、慣用句やことわざの正式表記と意味を確認する
- 事実誤認のないよう、公式サイトや信頼できるソースで確認する
- 締め切り設定日の50%までには初稿を提出する 例)10日後⇒5日後以内
- クライアントや編集者からの電話・メールにはすぐに対応する
こちらも思い付くまま10か条を紹介しましたが、そんなに外してはいないかと思います。ライティングスキルLv10~20ですので、1,000文字原稿依頼で10,000~20,000円相当になります。
ライター志望の方や、1文字単価10円未満で単価を上げたい方は、まずこの10か条を意識することで次回以降の依頼確率がグンと跳ね上がります。
そしてリピート案件を同様に繰り返すことで信頼度も上がり、徐々にライター側の要望も通りやすくなりますし、逆に先方から「次回からはこの原稿料で」と嬉しい心遣いもあります。
特に発行後は修正不可能な紙媒体では、この10か条を徹底して実践することで、まずは重宝されるライターへとLvアップします。
「1文字単価upのスパイス」は改めて詳細をお伝えできればと思います。
【ライター業界あるある 10】
インタビューを円滑にする「アイスブレイク」
初めてのお相手とのインタビューは、緊張した空気に包まれていることでしょう。
芸能人やプロアスリートなどの著名人をはじめ、経営者、教授などは取材慣れしていますので、それほど心配することはありませんが、問題は取材慣れしていないまだ無名の選手や大学生のケースです。
取材慣れしていない方は「何を聞かれるんだろう?」「うまく話せるかな…」との不安があるまま取材が始まり、最悪のケースでは双方メリットが少ないまま終了のホイッスルが鳴る時もあります。
取材慣れしていないだろう取材対象者へのインタビュー時には、簡単な一問一答レベルの質問を10ほどして「アイスブレイク」すると良いでしょう。
質問例は…好きな色、食べ物、座右の銘、趣味、特技、感銘を受けた本や映画、スポーツ歴、マイブーム…etcになります。
この一問一答による「アイスブレイク」時に重要なことは、取材対象者が深く考えなくてもポンポンとリズムよく答えられる質問内容にすることです。
場の空気も和らぎ、かつ取材対象者の興味関心や思考回路、語彙レベル、声のトーン等も同時に確認できますので、その後の取材が円滑になります。
※「アイスブレイク」は端的に説明すると、初対面同士の緊張や重い空気を和らげる、意味合いになります。詳細はGoogleで検索を。
写真
前編・後編でも書いたように、スポーツ新聞に限らず「写真」は重要度の高いビジュアル要素ですので、「引き立てる」というよりも「相乗効果」のニュアンスが適しています。今回は「文章要素と文章構成」がテーマですので、添え物扱いとなっていますが、「一枚の写真」が全てを物語るほど、ニュースバリューとしての意義や価値は高いです。今回は残念ながら該当写真がありません…。良い感じのフリー素材等が見つかり次第、反映するようにします。
まとめ
いかがでしたか。
現場でのスポーツ新聞記事作成は2012年が最後で、その後はある大学の体育会系特集をスポーツ新聞風に作成した以来ですので、5、6年ぶりぐらいでしょうか。第4話で「昔取った杵柄…」と表現しましたが、覚えているつもりでも、原稿リズムやスピード感など、今さらながらスポーツ新聞記事の奥深さを痛感しました。なかなかの歯応え(al dente)でした…。
スポーツ新聞風で文章に臨場感をテーマに、-前編- メインを彩る必須スパイス、-後編- メインを引き立てる各種スパイス、そして完成紙面イメージの3部構成でお届けしました。
【中級編】スポーツ新聞風で文章に臨場感を、を通じて、お子さんの思い出作文や学生さんのスポーツ新聞作成、スポーツ記事作成のお役に立てれば幸いです。
また、企業広報や公式SNS情報発信ご担当者の方も、「スポーツ新聞」風で広報誌作成や情報発信をチャレンジしてみてはいかがでしょうか。想定外の「変化球」は、ちょっとした驚きと戸惑い、そして反響もあるかと思います。クリエイティブとして「なにも印象に残らなかった…」よりも「感情に訴える」ことは重要ですので。
今回の3部構成ではアクセントとしてイタリア人、イタリア語も盛り込みました。イタリアに1998-2007年まで約10年ほど住んでいましたが、「日本語とイタリア語の親和性は非常に高い」と感じています。車の「tanto=たくさん」「passo=一歩・歩み」や、音楽用語の「opera=オペラ」「piano=弱い」「forte=強い」、そして飲食では「pasta=パスタ」「dolce=ドルチェ」など、基本的には文字通りローマ字読みで通じますし、そして日本国内でも定着しやすい語感だと思います。
イタリア在住時には多くのイタリア人に親切にしていただきました。題材としたサッカー記事の主役はイタリア人FW設定です。イタリア人は母国、正確には生まれ育った街への愛着が強く、異国へ挑戦する選手は、欧州や南米などの他国選手より少ない傾向にあります。
そんな国民性を踏まえての異国挑戦への揺るがぬ想いを届けられれば、と思い、架空ですが記事化しました。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。次回のテーマは未定ですが、文章への興味がupするようなテーマ…、これから考えますね。